ヌックとは、お部屋未満の小さなスペースです。

かわいらしい響きのある「ヌック」という言葉どおり、間取りにヌックを設けるとまろやかな癒しの空間が生まれます。おうち時間をより快適にするデザインとして人気です。

そこでこの記事ではヌックの魅力を中心に、マイホームにヌックを取り入れる際の注意点、またヌックのある暮らしの事例も紹介します。

ヌックは「こぢんまりしたくつろぎの場所」

ヌックは、リビングや階段下の一角に設けるスペースです。

一般的な部屋は、ドアや壁で他の部屋と仕切ります。これに対してヌックは、建築材の素材を変えたり段差を付けたりといった方法で他の部屋と区分けするのが特徴です。

なおヌックの語源は、スコットランド語の「イングル・ヌック」と考えられています。中世のスコットランドの住まいには暖炉があり、その傍らに腰掛（＝イングル・ヌック）を作るのが一般的でした。

「あたたかな暖炉の傍にあるくつろぎの空間」に語源を持つ住まいのデザイン、それがヌックです。

ヌックの特徴

ヌックは、開放感とプライベートを両立させた間取りでぜひ活用したいデザインです。

ヌックには、ドアや壁といった物理的な仕切りをあえて設けません。しかし床材の質感や色合い、わずかな段差といった工夫によって、開放感を維持しながら質の異なる居室空間を生み出します。

たとえば冒頭にも掲載している倉敷市のS様邸は、リビングにヌックスペースを設けた事例です。

腰かけてリラックスしたり、大きな窓の向こうに広がる中庭の様子を眺めたり、またブラインドを下せば、プライベートな場所に早変わりします。

ヌックのメリット

ヌックを設けると、次のようなメリットが期待できます。

1. 1.半個室を作れる
2. 2.デッドスペースを活用できる
3. 3.フレキシブルな空間が生まれる

1：半個室を作れる

ヌックは、半個室に最適なデザインです。

ドアや壁で完全に仕切らないヌックをリビングの一角に設ければ、家族と空間を共有しながらプライベートな空間を確保できます。

たとえばリビングに隣接したヌックであれば、遊ぶ子どもの様子を視野の片隅に入れながら仕事に勤しんだり、読書したりといった過ごし方も可能です。多目的に使えるヌックのある暮らしは、家族とのつながりを感じながらも自分の時間を大切にしたい願いを実現します。

2：デッドスペースを活用できる

ヌックは、デッドスペースの活用法としても有効です。

たとえば階段下のデッドスペースはヌックを設けるのに最適な場所のひとつです。隠れ家や秘密基地のような空間に生まれ変わります。

子どもの遊び場にしたり、静かに本を読みたいときの書斎にしたり、楽しみ方は無限大です。

3：フレキシブルな空間が生まれる

ヌックの人気の秘密は、その臨機応変さにあります。特定の用途を持たず、またクローズドな空間でもないヌックは、ライフスタイルの変化に柔軟に対応する空間です。

たとえば子どもが小さいときは秘密基地を兼ねた遊び場、学生になったらデスクを設置して勉強部屋に、そして子どもが独り立ちしたら一人時間を満喫するための書斎、といった具合です。

いずれのシーンでも、完全に孤立した空間ではないので、家族とのつながりを感じられます。ゆるやかにパーソナルスペースを確保できるヌックは、家族のひとりひとりを尊重しながら絆を深めるのに最適です。

ヌックの弱点

自由度の高さが魅力のヌックですが、設置に際しては注意したい点が3つあります。

1. 1.コストがかかる
2. 2.居室の面積が狭くなる
3. 3.設置場所次第で利便性が下がる

ヌックの形やデザインによっては、追加の施工費用が必要になる可能性があります。またヌックの設置場所次第では、他の部屋の面積を圧迫することもあるのでご注意ください。

ヌックの最適な広さや形状、設置場所を検討する際は、家族構成や希望するライフスタイル、生活導線、予算といったあらゆる条件を包括的に考慮する必要があります。

マイホームにヌックの設置を考える際は、知識と経験そして実績のある施工会社と、ご自身やご家族の意向をすり合わせながら進めることが大切です。

まとめ

ヌックは、おうち時間を至福のひと時にする空間です。また変化するライフスタイルや暮らしのニーズにフレキシブルに対応する点も、ヌックの魅力でしょう。

理想の住まいを実現するデザインのひとつとしてヌックの設置をお考えであれば、ぜひ私共にご相談ください。お客様がイメージする生活、ご希望の予算、家づくりで大事にしたいことなどを丁寧にうかがいながら、プロの視点で最適なプランをご提案します。